書籍レビュー:LABプロファイルで人を動かす [コミュニケーション・リーダーシップ・営業]
今回は書籍『LABプロファイルで人を動かす!』をレビューします。
- 作者: 小林由香
- 出版社/メーカー: すばる舎
- 発売日: 2012/10/18
「LAB(ラブ)プロファイル」とは、相手を動かす「コトバ」を見つけ、行動に駆り立てるコミュニケーション・スキルです。
LABプロファイルの LAB は、Language and Behavior の頭文字をとったもので、言葉(Language)と行動(Behavior)の関係性を分析したものです。
14のカテゴリー(12の質問)と37のパターンを使い、瞬時に相手のパターンを把握するスキルで、仕事や日常の場面で、相手の認知フィルターを特定して、相手に伝わる(影響する)言葉を使うことが出来るようになります。
本書は「LABプロファイル」を用いて人を動かす方法について、簡潔な解説と具体的な実例(会話例)で構成されており、LABプロファイルとはどのようなものなのかを理解するのに最適な入門書となっています。
|影響言語でコミュニケーションを円滑にする
影響言語を用いたコミュニケーションの特徴は、 相手の認識パターンに合った言葉…つまり「自分の好きな言葉」ではなく「相手の好きな言葉」でコミュニケーションを取ることにあります。
たとえば、「挑戦」「斬新」「画期的」という言葉を好む上司がいたとします。
とりわけ「挑戦」という単語を聞くとワクワクする様子。
部下指導をするときも、ついこうした言葉を多用して鼓舞したくなりますが、誰もがこの言葉を好むわけではありません。 使う相手を選ばなければ拒絶されることもあります。
この上司にはおそらく「安定」「定番」「伝統的」といった言葉は あまり響かないでしょう。
心のカギ穴に合う言葉ではないのです。
ですが、部下によってはこうした言葉を使ってアドバイスしたほうが、素直に聞き入れるケースもあるのです。
人が行動に移るときというのは、「面白そうだ」「やってみたい」という好ましい感情をもったときです。
このモチベーションの引き金となる言葉を探り出すことを可能にするのが「LABプロファイル」なのです。
|LABプロファイルの実践
LABプロファイルの実践を行う際は、いくつかの質問と観察のポイントがあり、相手の話す言葉や態度から、認識パターンを読み取ります。
これにより、心に響く「刺さるコトバ」が手に取るようにわかるのです。
相手をその気にさせ行動に駆り立てる場面上司への説得、部下指導、商談シーンで大いに威力を発揮する技法です。
実際には、いくつかの質問と観察のポイントがあり、相手の話す言葉や態度から、認識パターンを読み取ります。これにより心に響く「刺さるコトバ」が 手に取るようにわかるのです。
■質問:大切なことは、なに?
相手の「価値観」を把握することは、プロファイルをする上で不可欠です。
「価値観」とは、「どうしても譲れないもの」や「最も大切にしていること」を意味し、心が動くきっかけであり、行動を起こさせるキーワードでもあります。
コミュニケーションギャップの多くは、相手の「価値基準」を正確に受け止めないことから生まれます。
■質問:それってどうして大切なの?
この質問で、相手が『目的志向型』か『問題回避型』を見分けます。
相手の行動を動機づけるのは、ゴールを設定したときなのか(目的志向型)、落とし穴を避けるときなのか(問題回避型)、モチベーションの「方向性」を確認するためです。
◎影響言語
『目的志向型』に響く言葉
達成する、獲得する、~できる…など
『問題回避型』に響く言葉
解決する、避ける、~しなくて済む…など
■質問:うまっくいったって、どうやってわかるの?
「物事を判断する基準」を探る質問です。
この質問によって、物事を判断するときに自分の中の信念や価値観に照らし合わせて決めているのか、外部からの情報を頼りにするのか、その「判断基準」を確認します。
自分の中にある価値観をもとに自分で判断するのが『内的基準型』で、外部からの情報でわかるのが『外的基準型』です。
◎影響言語
『内的基準型』に響く言葉
「最終的に決めるのはあなただけど…」
「ちょっと考えて見てほしいのですが」
「あなたの判断に役立つと思うんだけど」など
『外的基準型』に響く言葉
「本にも書いてあったのですが」
「専門家の研究によると」
「みんなも言っているように」など
■質問:どうしてそれを選んだの?
この質問で『オプション型』か『プロセス型』かを見分けます。
『オプション型』は「別のやり方」を考え出すことを好み、『プロセス型』は「決まった手順」に従うことを好む傾向があります。
◎影響言語
『オプション型』に響く言葉
可能性、選択肢、さまざまな、別のやり方…など
『プロセス型』に響く言葉
手段、ステップ、プロセス、正しい方法…など
■質問:以前と比べてみて、どう?
この質問によって相手のモチベーションが最も上がるのは、どの程度の変化のときなのかを推測できます。
ポイントは「共通点」と「相違点」のどちらに目がいくかという点に注目することです。
パターンは『同一性重視型』『進展重視型』『相違重視型』「進展・相違重視型』の4つがあります。
『同一性重視型』の人は、変化を望まず、安定を好み、同じであることに価値観を感じます。
『進展重視型』の人は、ベースは『同一性重視型』ですが、ときに例外がまざるイメージです。あまり急激でなく時間をかけてゆっくりと変化していく環境で、モチベーションが上がります。
『相違重視型』の人は、変化や新しいこと(もの)が大好きで、同じ環境が長く続くと耐えられないと感じます。
『進展・相違重視型』は『進展重視型』と『相違重視型』が混じったパターンの人で、徐々に変わっていくこともドラスティックな変化も両方好みます。
◎影響言語
『同一性重視型』に響く言葉
同じ、変わらない、いつも通り、似たような…など
『進展重視型』に響く言葉
少しずつ~、より~、もっと~、徐々に~なる、進化、改善・改良…など
『相違重視型』に響く言葉
全然違う、新しい、変化・革新・激変…など
『進展・相違重視型』に響く言葉
『進展重視型』と『相違重視型』の両方の影響言語を使う
|LABプロファイルの注意点
これまで説明してきたLABプロファイルですが、同じ人が常に同じタイプとは限りません。
コンテクスト(置かれている状況や背景の意味)によって反応は変化します。
例えば、仕事において『問題回避型』『外的基準型』『プロセス型』『進展重視型』の人が、趣味においては『目的志向型』『内的基準型』『オプション型』『相違重視型』という反応を示す場合もあります。
そこで重要になってくるのが、コンテクストを限定した上でプロファイルを行うということです。
|まとめ
本書をマインドマップにまとめてみました。
いかがでしたか?
LABプロファイルによって相手の影響言語を使うことでコミュニケーションが円滑になることについて理解されたことと思います。
レビューでは、ほんの触りだけご紹介しました。
詳しいテクニックについては是非書籍で学んでみて下さい。
- 作者: 小林由香
- 出版社/メーカー: すばる舎
- 発売日: 2012/10/18
◎更に深くLABプロファイルを学びたい方にオススメ!
「LABプロファイル」の体系を作ったシェリー・ローズ・シャーベイの著書。
どうすれば、もっとじょうずにメッセージを伝えられるのだろう?NLPのメタプログラムが進化して生まれた「LABプロファイル」。言葉と行動を観察するだけで、相手の思考パターンがわかり、そこへ効果的に働きかけることができるという技法の全容が、いま明らかになる。
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