紺碧ブログ

自転車や写真など筆者が関心のあることを気ままに書いていくブログです。

ゲーム回顧:ルナ エターナルブルーを振り返る [ゲーム・RPG・ゲームアーツ]

今回は1994年末にゲームアーツからリリースされたメガCDセガ)用のロールプレイングゲームルナ・エターナルブルー』を振り返ってみます。 

f:id:konpekikai:20180911173954j:plain

私は本作の戦闘システムの設計とプログラムを担当しました。
 
本ゲームは前作『ルナ・ザ・シルバースター』の続編として開発されました。
ストーリーは、前作の世界観を引き継ぎつつも、前作の登場人物の活躍が神話として
人々に語られるほど、時代が下ったのちの世界となります。

『ルナ』と『青き星』

物語は過去の大きな戦で荒廃し、人が住めなくなった惑星『青き星』から始まります。
『青き星』再生のために永い眠りについていた女神『ルーシア』に突然の目覚めが訪れます。
しかし、『青き星』の再生は完了しておらず、まだ目覚めの時ではなかったことを知ったルーシアは、はるか昔に『青き星』を脱出た人々が暮している地『ルナ』に危機が迫っていることに悟り、『ルナ』へと降り立ちつのです。
 
一方『ルナ』の世界では様々な人々が生活し、独自の文化を形成していました。
古代の神話や歴史に憧れを持つ少年『ヒイロ』は、相棒の『ルビィ』と共に珍しい遺物を求て遺跡を探検するトレジャーハンターとしての日々を送っていました。
そんなある日、ヒイロはルナ世界に降り立ったルーシアとの運命的な出会いから、彼の冒険の旅が始まります。

謎の少女ルーシア

本作は謎の少女ルーシアを巡って物語が展開していきます。
ルーシアのキャラクターを際立たせるための工夫はいたるところに用意され、それはゲームシステムも例外ではありません。
通常ロールプレイングゲームというのは、戦闘においては全てのキャラクターに指示を与えることが可能なのですが、本作においてはプレイヤーといえども『ルーシア』をコマンドすることができません。
ルーシアは常に独自の判断に基づいて、戦闘中も勝手に行動します。
シナリオ進行に同期して、ルーシア行いそうな行動を戦闘で再現することという命題を果たすべく、いろいろ奮闘して戦闘シーンを創りあげました。
その甲斐あって、リリース当時、ルーシアの戦闘行動はかなり話題になりました。

f:id:konpekikai:20180911174142j:plain

◎ルーシアの行動パターン(例)
  1. 登場時
    圧倒的な魔法力で魔物をモノともしない力を発揮
  2. 自己中なルーシア
    力を奪われた直後、自己保身を第一に考えて行動
    全ては自分の身を守るために行動し、状況によっては勝手に退却までしてしまう
  3. 徐々に打ち解けるルーシア
    あるイベントを機に仲間の存在の重要さに気づいた後、徐々に仲間の支援を行うようになるルーシア
  4. ヒイロへの思い
    ヒイロへの気持ちに気づき始めたルーシアは、ヒイロの安全を第一に考えて行動を取るようになっていきます
実はこの戦闘システムは、戦闘コマンド『AI』を選択した場合、ルーシア以外のキャラもそれぞれがキャラクター個性に応じて行動するように設計されています。
例えば、ヒイロはルーシアの安全を最優先とする行動を取ります。

気合で制作したアニメーション

ルナ・エターナルブルー』は当時のRPGと比較してもアニメシーンの量も質も圧倒的に上回るものでした。
原画とアニメ監修は前作に引き続き『ジャイアントロボ』などを手掛けられた窪岡俊之氏が担当。
当時のゲーム機には動画再生機能がなかったので、アニメーションは力業で制作していましたし、現在のようにツールも充実していないので、ひとコマひとコマをドット画で制作。
使用できる容量も限られているため、当時最先端の圧縮技術も駆使しての正にプログラマーとデザイナーが全力で取り組んで創り上げたものでした。
アニメシーンはフルボイスのため、音声との同期も大変だったのです。

岩垂音楽と豪華声優陣

音楽は『グランディア』『逆転裁判』『キミキス』『アマガミ』などの音楽を担当された岩垂徳行氏が担当。
本作の壮大な世界観を音楽の力で盛り上げています。
また『歌』を効果的に使っているのもルナシリーズの特徴です。
本作でもルーシアの重要な感情的な変化を『歌』で表現していたり、特徴的な二つのエンディングもそれぞれ『歌』で締めくくっています。
ルナ~エターナルブルー

ルナ~エターナルブルー

 

さらにルナ・エターナルブルーは、緑川光横山智佐林原めぐみ西原久美子久川綾納谷六朗家弓家正といった豪華な声優陣を起用。 彼らの巧みな演技はプレイヤーを物語に惹き込んでいきます。

f:id:konpekikai:20180911173403j:plain

 

彼らの演じたキャラクターたちは人気があり、のちにマンガやドラマCDにも展開されていきました。

ルナティックパレード(1)

ルナティックパレード(1)

ドラマCD「ルナティックパレード」も展開

豪華声優陣のドラマは聴く価値アリ! 

 
この作品前後から音楽と声優の演技がビデオゲームの重要なファクターとなっていきます。
ハード面の進化もあり、後続の『サクラ大戦』シリーズなどの作品に代表されるように、音楽と声優の演技が重要視されてるようになっていくのです。
SEGA THE BEST サクラ大戦1&2 - PSP

SEGA THE BEST サクラ大戦1&2 - PSP

  • 出版社/メーカー: セガ
  • 発売日: 2007/11/22
  • メディア: Video Game
  •  

枠組みを超えた制作

戦闘時に登場するボスキャラなどのデザインは、現在(株)シェードの代表を務められている横田幸次氏が担当。
私と一緒に戦闘シーンを創り上げました。
彼が描いて私がそれを動かす…という流れが心地よく、お互いに最高の仕事ができたと思っています。
そんな中、単なる中ボスの予定だったキャラの一つがプロジェクト全体に影響を及ぼします。
ジーク・ザ・ライズン
本当は単なる盗賊の親玉キャラだったんですが、我々が暴走してキャラを作り込んでしまい、その出来の良さからシナリオも変更され、ルーシアと知己のある謎のキャラに昇格。
そして、真のラスボス『星竜』に大抜擢されてしまったのです。
 
そんな感じで個々のクリエーターの個性が作品全体に影響していったのも本作の特徴でした。

 

二つのエンディング

ルナ・エターナルブルーは、当時としては画期的な「二つのエンディング」が用意されました。
ひとつ目のエンディングは、ルーシアとの冒険の結末まで。
大団円の後、ハッピーエンディングとはならず、二人には悲しい別れが訪れます。

 

そしてもう一つのエンディングは、その後の後日談。
ひとつ目のエンディングでヒイロが決意したルーシアとの再会を果たす旅の冒険ですの結末です。
メガCD版では隠しシナリオの形で展開したので、気づかなかったプレイヤーもいたようです。

それぞれのエンディングテーマソングもルーシアの心境を反映した歌詞になっており、
作品の余韻を十分に味わうことができます。
 
いかがでしたか?
初作(ルナ・ザ・シルバースター)がリリースされたのは25年以上前ですが、ルナシリーズは何度もリメイクされて愛されています。
 
そしてなんと!
2022年10月に発売された「メガドライブミニ2」に収録されました!

メガドライブミニ2は人気みたいで、Amazonでは新品は完売しちゃっているみたいですね。

(2022年12月22日現在)
 
リメイク版が2015年9月にゲームアーカイブスとしてリリースされており、現在でもPS3、PS Vita、PSPで遊ぶことが可能です。
今でも多くのファンに好意的なフィードバックを頂いている作品ですので、未体験の方は一度プレイされてみてはいかがでしょうか?

f:id:konpekikai:20180911175119j:plain

 【特設サイト】ルナ2 エターナルブルー (ゲームアーカイブス版)

 

 ◎原点となったメガCD版はこちら↓↓↓

LUNAR エターナルブルー MCD 【メガドライブ】

LUNAR エターナルブルー MCD 【メガドライブ】

  • 出版社/メーカー: ゲームアーツ
  • 発売日: 1994/12/22
  • メディア: Video Game