紺碧ブログ

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書籍レビュー:未来志向の育成法『いつも結果を出す部下に育てる フィードフォワード』 [自己啓発]リーダーシップ][コーチング]

今回は書籍「いつも結果を出す部下に育てる フィードフォワード」(久野和禎著)をレビューしたいと思います。

フィードフォワードとは?

おそらく多くの方は「フィードフォワード」という言葉は聞きなれないと思います。
フィードフォワード」は、「フィードバック」の反対の意味を持つ言葉です。
フィードバックは、過去の事柄を基準として、主に失敗や反省点を評価し、改善を促すことで成果を上げていく従来からの育成方法です。
これに対しフィードフォワードは、未来のイメージに対して働きかけることで、対象者のモチベーションを高め、成果を出していく新しい人材育成方法として注目されています。

フィードバックの問題点

先の述べたようにフィードバックは、過去に注目して、失敗反省点を指摘し、改善を促しますが、時に受け手の心理を傷つけることになる場合があります。
極端な場合、フィードバックされた側は、再度の失敗を恐れるあまり動けない状況に陥ってしまい、改善どころか生産性が著しくそがれる結果にもなりかねません。
失敗の追体験をすることによりモチベーションも低下します。

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さらに、フィードバックは評価対象者よりも優位な立ち場にいる人間が行なうことが多く主観的な評価が行なわれる傾向が強いため、結果うんぬんより評価者への心象を第一に考えて行動をするようになっていく場合が多いのです。

言わばイエスマンを養成するシステムなのです。

フィードフォワードは未来志向

フィードフォワードは過去の実績については一切評価しません。
あくまで「これからどうなりたいか」「そのためには何をしていくべきか」ということに注目します。
フィードフォワードを行う人は、対象者の未来のビジョンに対して働きかけ行き、対象者のモチベーションを上げ、成果につなげていきます。

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なお、著書ではフィードフォワードを行う人を「フォワーダー」、フィードフォワードを受ける人を「レシーバー」と呼んでいますので、以下はそのように表現します。
 
フィードフォワードは可能不可能はとりあえず置いておいて、あくまでレシーバーが理想とする未来イメージを操り返し描いていくことが特徴です。
レシーバー本人が『本当にやりたいこと』に注力します。
するとレシーバーの脳が活性化し、ゴールにたどり着くための方法を模索しはじめます。
この現象は意識していない状況でも行われる(無意識の振り返り)ため、自然と必要な情報をキャッチしていくようになります。

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フィードフォワードを実施する際に大切なのは、フォワーダーは、時にフォワーダー自身にとって不都合であったり不利益に働く場合があっても、あくまでレシーバーにとって理想とする未来を肯定することが大原則です。

PDCAはもう古い?

PDCAとは、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Action(改善)の 4段階を繰り返すことによって、業務を継続的に改善していくことをいいます。

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しかし、PDCAは実際にうまく回っているのでしょうか?
日本の企業は、欧米をはじめとした海外の企業と比べて致命的にスピードが遅いといわれています。
一説にはPDCAに原因があると言われています。
その理由は、PDCAには「未来に進みたい意図」と「過去にとどまらせる要因」が同居しているからです。
過度なPlanとCheckを行うでスピードを失っているケースが多いのです。
日本企業では、事前に十分に検討をして、関係者に根回しをして合意を取って、問題が無いと確証を得た後で、ようやく物事を進めて行くのが慣例になっているのです。
日本で新規事業がうまく立ち行かない理由もこの辺にあるのではないかと思われます。

『FFA』でアクションのスペードを上げていく

FFAとは「フィードフォワード」⇒「アクション」の略称です。
フィードフォワードには「ゴール設定」と「無意識の振り返り」が内包されています。
無意識の振り返り」が行われることで、これから取ろうとしているアクションの改善点に気がつかせてくれ、必要に応じて自動的に軌道修正をさせてくれます。
無意識の働きなので、スピードが損なわれることなく前に進むことができるのです。

 

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リーダーが読むべき本

本書のタイトルにあるように部下を持つリーダー人事に関わる人には読んで欲しい本ですね。
現在の評価制度の多くが、形だけ欧米のものを取り入れたり、仕事の実情に合わないのに画一化されたものを採用しているケースが多いように見受けられます。
この本を読んで思ったのは、目標設定の時点で何が何でも数値化したいというのは、評価者側が楽したいからなのだろうかと思わずにはいられません。(数値実績だけで評価すれば良いのですからね。)
対してフィードフォワードでは、フォワーダーは定期的にレシーバーと1on1で話す機会を設け、未来に向けて働きかけ続けなくてはなりません。
これはフォワーダーにとって時間的にかなりの負担がかかることです。
しかし、フィードバックやPDCAの問題点にあるように、本当に生産的な仕事をするためには、リーダーは部下やチームメンバーと十分な時間を取って、操り返しフィードフォワードをしていく必要があるのだと理解しました。
 
今回のレビューでは本書の前半のみをフォーカスしました。
後半は実践的でさらに濃い内容となってますので、是非本書を手にとって読んでみてください。
いつも結果を出す部下に育てるフィードフォワード

いつも結果を出す部下に育てるフィードフォワード

  • 作者: 久野和禎
  • 出版社/メーカー: フォレスト出版
  • 発売日: 2018/07/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

 

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