紺碧ブログ

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ゲーム回顧:王道RPG『グランディア』を振り返る [RPG・ゲームアーツ]

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今回は1997年末にゲームアーツからリリースされたセガ・サターン用のロールプレイングゲームグランディア』を振り返ってみます。
私は、ルナ・エターナルブルーに引き続き、本作の戦闘システム設計とプログラムを担当させて頂きました。
◎「ルナ・エターナルブルー」についてはこちら↓↓↓をどうぞ

 
◎「グランディア」がどんなゲームかわかるまとめ動画

 

 

2Dと3Dの融合

グランディアシリーズの初作となった『グランディア』が最初に制作されたハード『セガ・サターン』はメガドライブに比べて格段に性能が上がり、テクスチャーを貼った3D表現が可能になりました。(厳密に言うと変形スプライトによる3Dなのですが…)
ハードの進化により、グランディアではフィールドを3Dで作ることで立体的なカメラワークを可能としました。
プレイヤーはゲームパッドの操作でフィールドを回転させることも可能です。

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 一方キャラクターは2Dで描かれています。
(※サターンでは、まだキャラクターのような複雑なモデルを全て3Dして同時動かせる程の性能がなかったため)
しかし、3D空間に違和感なく2Dキャラを配置するため、全てのキャラクターは8方向分のグラフィックを用意せねばならず、これはなかなか大変なことでした。

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このようなフィールドを採用したRPGは、当時としては珍しかったと思います。
(本作リリース直後、同様のシステムを採用した『ゼノギアス』がPlayStationで登場しましたが、僅かにグランディアの方が先です。)
 

 半リアルタイム バトル

グランディア戦闘システムは、当時としてはかなりユニークなものでした。

実はベースはルナシリーズの戦闘システムなのですが、当時の私はアクションゲームのようなリアルタイムバトルをRPGで実現したいと思っており、サターンの性能のおかげで戦闘キャラクター全部をリアルタイムで動かすことは可能となりました。
しかし、キャラクターにコマンドを与えるタイミングで苦労しており、そこに企画チームからの『コマンドを与える際に一旦時間を止めてしまおう』というアイデアが提案され、その後、ピースがハマったように戦闘システムが組みあがっていきました。
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一旦半リアルタイム戦闘という枠組みができあると、戦闘キャラクターの行動順番を表示する『IPゲージ』(イニシアチブ・ポイント・ゲージ)や半リアルタイム性を活かした『カウンター要素』など次々とアイデアが出され、こうしてグランディア・シリーズの特徴的な戦闘システム『アルテミッド・アクションバトル・システム』が完成したのです。
 

◎光翼人地下街での「バール戦」ニコニコ動画
 (若本さん全開のバール将軍をお楽しみください。)

RPGの戦闘で声優によるボイスアクションが入ったのも、おそらくグランディアが初です。
せっかく半リアルタイムで動くのだから、もっとライブ感を出したいという思いで、戦闘にもボイスアクションを入れました。
ルナシリーズに引き続き、グランディアの声優陣も豪華です。
瀧本富士子、日高のり子西原久美子納谷六朗井上喜久子小杉十郎太そして若本規夫といった今では大御所級の声優を起用しています。
シナリオ班が超多忙だったので、戦闘シーンのセリフ起こしは全て私がやることになっちゃったんですが…
そのおかげでアフレコの現場に立ち会うこともできました。
自分の書いたセリフを声優さんがしゃべってくれたのには、すごく興奮覚えましたねぇ…
 
実はこの戦闘システムは、グランディアシリーズだけでなく、のちに発売された日本ファルコムの『空の軌跡』から始まる『軌跡シリーズ』などにも改良された形で導入されています。

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日本ファルコム制作「空の軌跡」の戦闘
左側にあるものがIPゲージの進化系と思われる

ルナに引き続き『岩垂音楽』を採用

音楽はルナシリーズに引き続き岩垂徳行氏が担当。
壮大なテーマ曲と感情に訴える数々のBGMがゲームやドラマシーンを盛り上げています。
この辺りはルナシリーズからお馴染みの『岩垂節』ですね。
 
 ◎シンフォニー グランディア

 
一方、グランディアのフィールド音楽はとてもユニークです。
主人公とヒロインは『冒険者』という設定ですから、音楽も冒険を意識して制作されており、地域毎に全く異なった雰囲気の民族音楽的なBGMが採用されています。
 
戦闘においても前半(DISK1)と後半(DISK2)で異なるBGMを採用し、物語の核心に近づいている印象を強める効果を狙っています。
ベスト・オブ・グランディア

ベスト・オブ・グランディア

  • アーティスト: 岩垂徳行
  • 出版社/メーカー: TWOFIVE RECORDS
  • 発売日: 1999/06/25
  • メディア: CD

冒険と出会い・別れにこだわった作品

グランディアは世界観もシナリオも徹底的に『冒険』と『出会い』と『別れ』にこだわった作品です。
物語を進めるごとに訪れる場所は文化も世界観も変化していき、異国に来たという雰囲気を醸し出しています。

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主人公は仲間との出会いや別れを経験して成長していきます。

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「食事」を通した会話を重視

グランディアのもうひとつの特徴は「食事」シーンを重視していることです。

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「食事」を通して、これまでの物語を振り返ったり、これからやるべきことを示唆したりしています。
また、キャラクターの個性や心情も食事会話で伝わるよう配慮されています。
 

祝!HDリマスター版 for SWITCH

先日『グランディア』『グランディアII』のHDリマスターをニンテンドースイッチ向けが発売されました!
実況動画などもアップされていて大変好評なようで嬉しいです!

 
 
グランディアの原点はこちら…(PS版)
グランディア PlayStation the Best

グランディア PlayStation the Best

  • 出版社/メーカー: ESP
  • 発売日: 1999/06/24
  • メディア: Video Game

 

◎ファンディスク「デジタルミュージアム

グランディア デジタルミュージアム

グランディア デジタルミュージアム

  • 出版社/メーカー: ゲームアーツ
  • 発売日: 1998/05/28
  • メディア: Video Game

セガサターン版しかありませんが、グランディア ファンのために作られた遊び心いっぱいの作品です。

私は、戦闘関係全般(再設計)と「早食い王」の制作で参画しました。

◎レビュー記事はこちら↓

 

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